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2022年 10月 07日

クンチャーン・クンペーンの話

バンコク小旅行ネタ、特に355列車乗車記をお待ちの読者には大変申し訳ないが、先に
このシリーズをアップさせてほしい。何しろ赴任初期に書いた記事でもう5ヶ月近く前。
中間休みに入って学校ネタが途絶えたら真っ先にアップしなきゃ、と思ってたんだよ。
このまま在庫し続けてたら記事が発酵して酒になりかねないので(笑)。

「アンタの派遣先はスパンブリー県よ」と知らされたのは今年3月初め頃だったかな?
当然、すぐに「スパンブリーってどんな町だべ?」って調べた。アユタヤ朝時代からある町で
歴史はすごく古い。そしてタイ人なら知らぬ者とてない有名な歴史叙事詩「クンチャーン・
クンペーン物語」の舞台がスパンブリーなのだということを知った。

ほぉ・・そんなに有名な話なら赴任前にちょっと読んでおきたいもんだが。
だが読むためにはものすごくホネを折った。
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_09445438.jpg
 
最終的には「タイ国古典文学名作選」という本をコピーするために国立国会図書館まで行き、
抄訳を読んだ。元は16世紀に書かれた伝承物語だそうで、戦争で失われたけど後のラーマ2世や
3世がタイ中の詩人をカキ集めて復元(リライト?)した2万行にも及ぶという一大歴史叙事詩。
 
基本的ストーリーは「貧しいけど勇敢なイケメン戦士クンペーン、お金持ちだけどデブでハゲの
クンチャーン、この二人が幼馴染みの美女ワントーンを争う」という話・・・って聞くと単なる
三角関係物語みたいでちっとも歴史叙事詩っぽくない。ところが実際読んでみるとこれがもう
波乱万丈すぎてついていけないくらい・・・(下の画像がイケメンのクンペーンと、ハゲデブの
クンチャーン。どっちがどっちかは説明するまでもない)
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21533110.jpg
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21533203.jpg
 
主人公のイケメン戦士クンペーン、実は相当のチャラ男で、あちこちですぐ女とヤル。
美女ワントーンと相思相愛なのにワントーンの侍女ともネンゴロになり、出陣した先の
村長の娘も女房にし、さらに山賊の娘まで女房にする始末(この娘は悪いヤツなんだが)。

一方絶世の美女であるワントーンはクンペーンが大好きなのにイマイチ優柔不断。そのくせ
大金持ちクンチャーンが裏で手をまわして求婚してくると「毛むくじゃらの豚野郎!」とか
禿茶瓶!」とかすげー罵倒ぶり。「はげちゃびん」なんて言葉を目にしたの何十年ぶりだか。
でも「クンペーンは出征先で戦死した」というウソにだまされクンチャーンと結婚するハメに
(・・・なるんじゃなかったかな?)。
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21553072.jpg
 
片やクンペーンは勇敢な戦士ってだけじゃなく、何と黒魔術の修行もバッチリ積んでる。
黒魔術のおかげで物語はいよいよご都合主義まっしぐら。誰にもバレずクンチャーンの家に
忍び込み(黒魔術使ってるから)、寝ているワントーンを連れ出し(黒魔術なら可能)、
そして密通、懐妊させちゃうという相変わらずのチャラ男ぶり。

クンペーンはさらなる魔力を求め、自分に毒を盛ろうとした山賊の娘の妻を殺し、腹の中の
胎児を黒魔術で焼いて金嬰丸(クマントーン:一種の使役霊だそうで、ウルトラセブンにおける
カプセル怪獣みたいなものか?)として使い、ますます何でもできるようになる。すげえ話。
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21561748.jpg
 
そのへんからもうとてもストーリーを覚えきれない(笑)。
クンペーンはチェンマイとの戦闘で武勲を立てて出世するけど、ワントーンは相変わらず
禿茶瓶と一緒に暮らしてる。そのクンチャーンはアユタヤ王にいろんな讒言をしてクンペーンを
陥れようとし、そのせいだか別の理由だかでクンペーンは牢獄に入れられたり・・もう何だか
ワケわかりません。

しかし最も衝撃的なのは最後だと思う。果てしなく続く美女の取り合いやら訴えやらに
ほとほと呆れたアユタヤ王が「ワントーン、お前は結局クンペーンの妻になりたいのか?
それともクンチャーンと暮らしたいのか?」と聞く。考えてみりゃワントーンは女たらしの
黒魔術戦士と金持ちの禿茶瓶の間で翻弄されてばかりの人生だった。かわいそうに。

王に問い詰められたワントーン、ハッキリ答えられなかった。どっちつかずの返事をした。
これを聞いた王様は「二心ある女、けしからん!!」と激怒し、ワントーンの斬首を命じ、
ワントーンは首を斬られてあの世へ・・・

 
   ・・・・・えええええッ??!
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21571548.jpg
 
うっそー。結局イケメンと美女が最後は結ばれるんじゃないの?
絶世の美女のヒロインが最後に首切られてチョンって・・すげぇ終わり方(このあとも一応
蛇足的な続きはあるらしいんだが、抄訳はここで終わってる)。

恋ありエロあり陰謀あり、加えて戦争スペクタクルや猟奇趣味もテンコ盛り。ヒロイン美女が
最後に斬首されるというエンディングもスゴいこの話は何度も言うけどタイではみーーーんな
知ってる有名な歴史物語で、映画化も何度かされてるらしい。男を両天秤かける女のことを
「ワントーンみたい」なんて言うこともあるんだとか。
 クンチャーン・クンペーンの話_c0393255_21585096.jpg
 
さて、今日の記事ではいくつも極彩色の絵が出てきた。
スパンブリーはこの有名な歴史叙事詩の舞台になってるだけあって、クンペーンが若い頃に
学問と黒魔術を勉強したとされるお寺が実在しているんですね。それもいわんやが毎週末に
ビールのダース買いに行く、あのBIG Cのちょっと先に。

そのお寺に行ってきたんですよ(ただし5月の話です(笑))。今日載せた写真はその寺の
壁画の一部なのでございます。次回記事でそのお寺と壁画についてジックリご紹介します。

 


by tohoiwanya2 | 2022-10-07 00:01 | 2022~23 タイ派遣事業 | Comments(2)
Commented by schnee_yuki88 at 2022-10-08 10:09
なんだかハチャメチャな話ですが、猟奇趣味と黒魔術までありな所がタイっぽい。イケメン戦士クンペーン、美女ワントーンに一途なんじゃなくて方々にお手つきしまくりで、まぁヒドい奴ですね〜。安定した生活できる禿茶瓶(歴史?を感じる日本語訳ですね‥)の所に戻ってしまうのも納得‥。王様のゴタゴタ解決法も、ひっどいなーーと思いますが、、。

壁画の絵の感じ、どことなく漫画っぽくて面白いです。色使いなどは、いかにも絵画なんですが表情豊かな所とかが。笑
Commented by tohoiwanya2 at 2022-10-08 20:36
>壁画の絵の感じ、どことなく漫画っぽくて面白いです

yukixさん:
タイのお寺に描かれた仏教画なんかだともう少し様式化されて、立体感もそれほど
強調されてない感じの人物描写が多いですけど、この寺の物語壁画は
まさに劇画調。何となく昭和の時代の、
地方の場末映画館の手描き看板を連想させる。ま、そういうのもワタシ好きですが(笑)。

クンチャーン・クンペーンの話、生徒たちもやっぱりみんな知ってるようで、逆に
「せんせぇ、しってるんだ」なんて言われました。



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