航空会社は肥満乗客をどうするか

ニンビンでの専属ドライバーが龍氏に決まったところで関係ない話をひとつはさもう。

こないだ京王線の中でかなり太った乗客の隣になった。乗ってる間じゅうオレの右肘は

彼の左脇腹に浅くメリ込んでいたが、どうしようもない。そんな風にすわっていたら8月の
ベトナム・タイ旅行の最後、バンコクから乗ったエアアジア機のことを思い出したのだ。
　　
かなり混んでたけど完全満席ってほどではなく、いわんやがとったのは右側3列の通路側。

真ん中と窓際はタイ旅行帰りとおぼしき日本人ギャルだった。オレらが座ったあとからも

続々と乗客が乗り込んできた中にすごく肥満した欧米人のオッサンがいて、オレのわきの

通路を通って後ろの方に行った。

「うわーあんな人の隣になったら大変〜」と隣のギャル子たちが囁き合うのが聞こえた。

オレもそう思った。あの人エコノミー席から体が絶対ハミ出すはずで、彼の隣に座った

不幸な人は成田まで6時間、ヒジかけからハミ出した人肉とくっついてなきゃいかん。

　

オレらの前の3席はなぜか空いてた。まぁ満席じゃないしね。・・と思っていたら、例の

肥満オッサンが離陸直前になって突然オレらの前に移動してきたではないか。

これはたぶんエアアジアが「融通を効かせた」んだと考えられる。空いてる席をバラバラに
散らさずに1列分残し、もうこれ以上乗客が増えないと決まった段階で彼をそこに移して
あげたっぽい。そういう意味でエアアジアは融通のきく航空会社だと思う。

しかし彼のうしろにいたオレらはちょっと怖い。歩くのもラクじゃないくらい太った人

だったから、3席あいた列に座るにもまず通路側の（つまりオレの真ん前の）席にドサッ！と

落ちるように座る。荷重に耐えられず崩壊したイスと彼の身体とがオレのヒザに落ちてくる
恐怖を感じたことは告白しなければならない。
　
しかしそれじゃ終わらない。まず通路側席に座った彼はドスッ、ドスッと少しずつ身体を

右に移動して真ん中の席にドサッと座りなおす。隣の日本人ギャル子もたぶんオレと同じ

恐怖を感じたに違いない。彼が動くと前列シート全体がぐらぐら揺れてたもんね。

しかもこのオッサンがやたらよく立つんだよ。トイレに行ったり、上の荷物棚から何かを

出そうとしたりして。そうやって彼が再び座ろうとするたびにドスドス移動が繰り返され、

オレは毎回自分のヒザの上にイスとオッサンが倒れてくる恐怖にさいなまれた。

この時は肥満乗客とオレの関係が前後だったからこの程度で済んだけど、これが「左右」に
なると厳しいものがある。幸いオレはそういう経験ないけど、ヒジかけから体がはみ出した
肥満乗客二人に挟まれて12時間なんていうのは誰だってイヤだろう。

調べた限りでは、こういう超肥満乗客をどうするかっていうのは世界的統一ルールはない。
でも2席分買ってもらうっていう航空会社が多いみたいで、その場合2席めの料金は割引に
なることもあるようだ。
　

体型による差別は許されないのはもちろんだけど、飛行機のエコノミー席みたいに制約の

強い場所だとどうしたって問題になる。実際太った乗客の隣で狭い思いをしたっていうんで

訴訟になったり、航空会社がお詫びクーポンを送ったなんて例もあるみたいだし。

「2席買わなくても客室乗務員が気をきかせてくれるから大丈夫」って意見もある。

上述のエアアジアの例みたいにね。完全満席でなかったから出来たことではあるが。

もう一つ。今回調べて初めて知ったけど「シートベルトの延長コード」っていうのが
あるんだね。ただ、全ての機種、全ての座席で使えるとは限らないようで、2020年には

タイ航空のある機種のビジネスクラスでウエスト142.24cmという“ベルト上限”を超えた

乗客に延長コードが使えるエコノミーに移ってもらったなんて例もある。

エアアジアのあの肥満オッサン、シートベルトはどうしてたんだろ？
延長コード使ったのかなぁ？