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2024年 11月 06日

多民族国家の難しさを考える

旅行記からちょっと離れて、こんなマレーシアばなしを。

多民族国家って多くがそうなんじゃないかと思うけど「民族間格差」が生まれやすい。
「多民族・多宗教国家の成功例」といわれるマレーシアにもやっぱりある。

KLとイポーに計4日しか滞在しなかったいわんやだから、今回の旅行でそういう格差を
感じることはなかった。しかし今だから言えるけど2009年のシンガポール出張の時は
ちょっと感じたんだよね。
多民族国家の難しさを考える_c0393255_23592528.jpg
  
シンガポールで街路樹や植栽の手入れとか水やりとかする作業員を時々見かけた。
暑い国じゃ大変な肉体労働なわけだけど、そういう仕事してる人は色黒のマレー系か
インド系と思われる人ばっかり。色白の華人系でそんな仕事してる人全然見なかった。
これが民族間格差かなぁ?なんて漠然と思った。

華人系って大体商売上手で子供の教育にも熱心。だもんで就学・就労等々でも華人優位に
なっちゃうんだな。その点マレー系はのんびり気質みたいなの(笑)。華人系が圧倒的に
多いシンガポールがマレー連邦から“追放”されたのもその辺の軋轢が主因。
多民族国家の難しさを考える_c0393255_23513073.jpg
 
そこでマレーシア政府は大胆な手を打った。それがブミプトラ政策、早い話が「地元人を
優遇する政策」だ。地元人ってマレー人、及びボルネオなんかの原住民を指す。

公務員採用や国立大学への入学、その他様々な経済活動で地元人を優遇することにした。
いろんな業種で30%以上ブミプトラ資本が入ってないとダメ、とかね。1971年導入って
いうからブミプトラ政策も導入されて半世紀以上になる。

こういう政策が続いた結果、マレー人の社会的・経済的地位は向上し、民族間格差も縮小
したと言われる。しかしこれって早い話が強制的是正じゃん?自然な変化ではない。
華人系マレーシア人は内心面白くはないはずだし、マレー系ばっか優遇されてオレらは
無視かよ!ってインド系マレーシア人の反発もあるらしい。そりゃそうだよな。
多民族国家の難しさを考える_c0393255_22065596.jpg
  
マレー半島の西海岸と東海岸とでも格差があるらしい。西海岸諸都市は華人系がわりと
多くてインフラも整ってるのに対し、東海岸の街はマレー系住民の比率が高くて、その点
遅れてるらしい。つまり民族間格差と地域間格差が連動したトコがあるみたいなの。
多民族国家の成功例とはいってもいろんな格差問題はある。

しかしだよ。多民族国家ってイメージあんまりない隣国のタイ南部じゃイスラム過激派の
爆弾テロがしょっちゅうで、死者はこの20年で何千人単位にのぼるらしい。何千人って・・
戦争かよ。場所が南部である以上、確率的に言ってテロ犠牲者の多くもまたイスラム教徒で
あることは間違いない。いったい何やってんだか・・・。
多民族国家の難しさを考える_c0393255_23522903.jpg
 
それに比べりゃ全国的に3つの民族が混じってるマレーシアはほんとーに平和だった。
イポーに行く列車の中じゃ明らかに「たまたま乗り合わせた」インド系夫婦と華人系夫婦が
ずーっと仲良くおしゃべりしてたし、中華メシ屋にインド系の客もいたっけ。

・・・やっぱ「成功例」なんだな、マレーシアは。

 


by tohoiwanya2 | 2024-11-06 22:10 | 2024.08 マレーシア・タイ旅行 | Comments(0)


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