ご利益いろいろの幽霊寺ワット・マハーブット

さて前回記事のつづきだ。ワット・マハーブットに行こう。

怪談「プラカノンのメーナーク」で有名なこの寺に行くには、実はプラカノン駅の

ひとつ先、オンヌット駅の方が近い。とはいえそれでも20分くらい歩くんだが。

　

4月17日のこの日もバンコクはすんげー暑くて汗ダク。しかも帽子がなかったの。

屋根からポタポタ落ちる雨水（冷房水？）を手にとって頭濡らしながら歩いたぜ。

カッコ悪いとか言ってられる状況じゃないのだ。

ようやく着きましたワット・マハーブット。
「幽霊で有名な寺」と言われて日本人がイメージする暗さや不気味さとは無縁の

ハデな建物がいっぱいある広い境内だ、そこかしこに土産物屋まである。

　

寺である以上、仏様を祀った本堂っていうのがあるんだろう。しかしオレのお目当ては

タイのお岩さん＝ナーク様だ。ナーク様にはドコでお参りすればいいのか？

奥の方に進んでいくと・・・おお？ナーク様専用のお堂っぽいじゃん、これ。

ふむここか。純愛一直線のナークにあやかってか婦人の参拝客がいっぱい。恋愛成就の

ご利益があるとされてるらしい。奥の方にナーク様のご本尊？が・・ズームで見ると・・・

　　

このナーク像、上手とは言えない。しかしオレは「なかなかソレらしいな」と思ったよ。

彼女は聖人でもナンでもない幽霊だ。そういうヒトのお姿がギリシャ彫刻みたいだったら

かえってシラケる。前回記事に載せた下の画像みたいなナークじゃ霊力なんて感じさせない

「ただの美人」ってだけ。つまらん。それに比べると上に載せた小学生の図工風ナーク像は

霊力ありそうじゃん？

　　

参拝者は女性が多いけど男性もチラホラ。年齢層も幅広い。

ナーク様って恋愛成就以外にもすごくたくさんのご利益があるとされてるんだよね。
「徴兵に当たらないように」って願い事もあるんだと。信じ難いことにタイって徴兵が
くじ引き制なんだよ。それに当たりませんようにってこと。ナークは夫を兵隊に取られ
その間に死んじゃったから軍隊をとても嫌ってたというのがその根拠らしい。
　　
「宝くじに当たる」ってご利益も有名だ。しかし幽霊と宝くじって何の関係が？
実はタイ歌劇版のメーナークで、死体処理人が「宝くじが当たるようにお守り」に

しようってんでナークの額の骨をとろうとして、怒ったナークの霊に首絞められる

シーンがあるらしいんだな。そこから宝くじに結びついんだと。へえ〜〜〜。

せっかく来たんだ、オレも20バーツ払って線香とロウソクのお参りセットを購入して

お参りするか。実はオレはこの日、帽子をなくして帽子ナシで歩いてきた。ここは一つ

なくなった帽子が見つかりますようにと願いをかけて・・・

　
ところが線香の方はいいとして、このロウソクがなぜか異様に立てづらい。
いくらロウをたらして立てようとしても立たない。しかし倒れたままじゃカッコ悪いので
隣のロウソクに寄っかかるように立てた
　　
タイのお寺で、仏様を前にお祈りしてる信心深い人に混じると、オレみたいな信仰心の
ないヤロウはどうも場違いで、並んでお参りするのも気がひける。しかしお参り対象が
幽霊なら何となくこっちも気楽（笑）。
　　
そういうバチ当たりな心持ちでお参りしたのが良くなかったのか、あるいはナナメにした
ロウソクがナーク様のご機嫌を損ねたのか、結局なくした帽子はその後捜索したものの、
出てこなかったのである。